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急に涼しくなりました。そろそろキノコの季節になりますね。毎年この季節にはキノコの毒に当たる人が出ます。確かに山に行けば一見食べられそうなキノコが出ています。 「あ、これはスーパーに売っているシメジとそっくりだから食べられるに違いない。」と思い込んで料理してしまうと言うのは危険なので絶対に止めましょう。
そもそもスーパーで売られているシメジは、栽培困難な「しめじ」とは違います。キノコの分類は時に曖昧であるため、誤解を生じやすいので事故にもつながり易いのです。
シメジと称されるキノコは多数あります。キシメジ・ムラサキシメジ・センボンシメジ・ハタケシメジ・ネズミシメジ・ハエトリシメジ…父がキノコ採りを好きだったので様々なキノコを食べましたが、現在ネズミシメジは毒キノコと分類されている様です。ハエトリシメジは、ハエを殺すと言われアルコールを飲みながら食べてはいけないと言われます。そんな危険を冒してまで食べる必要はない様な物ですが、キノコ好きには止められないと言った所でしょう。裏磐梯に出かけた時、稀少価値の高い「ホンシメジ」が多くの露店で売りに出ていました。「ある所にはあるんだなぁ。」と感心した憶えがあります。
ある時、山の中で白っぽいキノコを見つけました。傘は肉厚で波打っています。裏側には爪楊枝の先の様な柔らかい毛が密生していて甘い芳香がありました。帰宅して調べた所、どうやら「カノシタ」と言うキノコの様でした。名前の由来は「鹿の舌に似ているから」と言うことです。図鑑等では「可食」となっていましたが、それまで食べたことのないキノコでしたので間違っていては危険と思い調査を続行することにしました。キノコのシーズンは瞬く間に過ぎ、何度か見かけましたが食べることはしませんでした。どうやらフランスでは「ピエドムートン」として高級食材として利用されている様です。次の年、やっぱり気になって前年に発生した場所へいくと、誰も採らない為その年も発見できました。確かそれでも食べなかったと思います。誰にも相談できなかったのでそのまま三年目を迎えました。山歩きを続けていましたが、似たキノコが他に見つからなかったこと、図鑑やインターネットでも類似するキノコは見つけられなかったので意を決して採取しました。採取してみると肉厚でありながら脆く崩れやすいのも図鑑等で知り得た情報と同じでした。調理前に下茹ですると良いとのことでしたから、その通り実行しました。その後バターと塩・コショウで炒め、酒で味を整えてみました。特に嫌な味はしませんでしたが、香りが強過ぎて多食するものでもないかと言う感じでした。ところが、他の野菜や肉類と一緒に調理すると香りのバランスがとても良く美味しいと感じるようになったのです。無論、腹痛等の異常はありませんでした。自分で見つけて食べられることを確認できたのが嬉しくて毎年楽しみにするようになりました。
それから数年が過ぎて毎年恒例のキノコ図鑑チェックしていた所、こんな記述が見つかりました。
「カノシタ:毒成分が見つかったので食べない方が良い」
唖然としました。日本ではあまり利用されていないので混乱もなかった様ですが、キノコ類はこんなことがあるのです。ネット上では現在も希少なキノコとして販売されているようです。他に知られる所では、何年か前に食べないようにと報じられた「スギカノカ(スギヒラタケ)」の様に個人差が出るキノコもあります。
以前、山に登った時のこと。山の上で出会った人に尋ねられました。
「このキノコ食べられますかね?」
残念ながら素人同然ですので「解らない」とお返事しましたが、山を歩いている人が詳しい人とは限りません。仮に食べられると言われても自信のないキノコは口にすべきではないでしょう。
ワライタケを食べられるとする地域もある様です。慣習や適切な処理をされたキノコであっても個人差がないとは言えないことを忘れないようにしなければいけませんね。
山歩きの楽しい季節です。事故のないように楽しいアウトドアを楽しみましょう。