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季節の変化を絵本にしたら新しいページを開く時にこんな音がするでしょうか。降り出した雨を後押しする様に鳴った唐突な雷鳴に身をすくめてしまいました。
今日はお借りした本のページを眼で追って過ごしていました。生物多様性をテーマにした本です。先日名古屋でCOP10が開催されていましたが、その詳細を知るにはいささか努力が必要です。今回お借りした本には「COP10とは何ぞや?」と言うあたりから解説されています。初めて聞く略称に眼を白黒させながら読み進めると次第に訓練校の講義で紹介された内容がきっかけになって意外と読める様になってきました。
先日の講義で「生物多様性オフセット」と言う考え方が紹介されていました。開発行為を行う場合、異なる場所に生物多様性を持った生態系を構築することだそうです。それは開発行為の抑止力として効力があるとのことですが、実際にはそんな簡単なものではないでしょう。自然環境も生物多様性も地域と密接な関係性を持ち、長い時間をかけて実現されるものです。つまり開発行為を行うことによって破壊される生物多様性は短時間で異なる場所に同等レベルに構築することは甚だ困難だろうと言わざるを得ません。しかし、それでも某かの効力があると言うことですから、何もないよりは良いと言うことでしょうか。
以前に米沢の福島県境にほど近い場所を紹介されました。何でもブナの原生林と言うことでした。ブナは以前から興味を持っていましたが、わざわざ遠くまで見に行く程とは考えていませんでした。しかし、一見しておいても良いだろうと思い出かけたのです。実際にブナの原生林に身を置いた時の感覚は言葉に言い表し難いものでした。言うまでもなくブナの原生林を再構築することは不可能です。無論、時間の問題もありますが、人間が植樹した時点で「原生林」とは言わないでしょう。そうは言っても蒔かぬ種は生えません。山形県内でも植樹の試みはされている様子です。寒河江市の幸生から大蔵村の肘折温泉に至る国道458号線沿いにもブナの育成林があったと記憶しています。近年、ナラ枯れと併せてブナ枯れも問題視されています。このまま枯れることなく成長を続けられれば、数百年の時を経て巨木の立ち並ぶブナの人工林を形成することが出来るでしょう。
生物多様性の問題の中に「パーム油」の話題を見つけました。パーム油は食品や石鹸等様々に利用されている様ですが、チョコレート原料として使用していたパーム油が森林を違法伐採することによって拓いたパーム農園で栽培されていたことで問題になりました。パーム油を原料とした石鹸は硬水でも泡立ちが良いと言うことで成分表示に「植物原料100%:原料はパーム油」と言うものを買い求めていましたが、化学物質を敬遠し天然成分を追求した結果、異国の原生林を破壊している可能性もあると言うことになります。本末転倒、五里霧中とはこのことでしょうか。
何かと言うと環境問題が取沙汰される昨今ですので企業も環境保護活動に無関心ではいられません。ところが、一方で環境保護活動をしながら、もう一方で開発行為を行っている場合もあるのです。それは薄々気がついていても日々の生活の中から見透すことは容易ではありません。
一言に環境問題とは言っても本当に大きな背景があり、その中から答えを選択して行くことは増々困難になって行くでしょう。それでも一度絶えてしまった種を再生する事とは出来ません。ドミノ倒しの様に生命全体の存在が危ぶまれることのない様、問題に向き合って行く必要があります。